新発見!シルクって食べられるんだ【ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)】

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更新日: 2024年03月28日

群馬県の魅力をぐんま観光県民ライター(ぐん記者)がお伝えします!

世界遺産の「富岡製糸場」に代表されるように群馬では古くから養蚕業が盛んでカイコのことを「お蚕さま」と呼び、敬い愛しみ、大切に育てられてきました。その「お蚕さま」の繭から生み出されるのが「シルク」で、高級繊維としておなじみですが、実は食用にも使われているのです。今回はそんな「食べられるシルク」について実食レポートします!

群馬県はシルク県

群馬県は養蚕が盛んな地域です。近年は海外からの安価な生糸・絹製品の輸入により縮小を続けていますが、群馬県の繭生産量は全国の約4割、生糸は約6割を生産する全国一の養蚕県と言えます。特に富岡市は世界遺産でもある富岡製糸場があり、生糸の生産も盛んに行われていました。

シルクは服飾関連に限らず、絹糸を医療用縫合糸として使用したり、石鹸や化粧品としても販売されています。そんなシルクですが、食品にも使用されているのを初めて知りました。そこで、筆者がシルクを入れると従来品と比べて何が違うのかを取材し、あわせて群馬に来たら食べてほしい「シルクフード」を紹介します。

写真提供:一般社団法人 富岡シルク推進機構

<参考>

ぐんまアグリネット「ぐんまの養蚕」(群馬県農政部ぐんまブランド推進課)https://aic.pref.gunma.jp/know/sericulture

富岡シルクのお土産に最適なお店

今回、筆者が取材でお邪魔したのは明治25年創業の「まゆ菓優 田島屋」さん。富岡ICより車で1分というアクセスが良い場所にお店があります。

店長の大広さんによると、シルク入り商品は常時6種類置かれていて、すべて富岡シルクだそうです。「まゆ菓優 田島屋」さんでは富岡銘菓の「まゆこもり」が年齢問わず人気の商品で、来店した年配の人が懐かしむ場面もあるそうです。昔から愛されている商品だと感じました。

店内では富岡シルクを使用した商品が豊富で目移りしました。特に目を引いたのが、生地にシルクが入っている「シルク・ド・らやき」。フランスの技術と日本独自の工法が融合してできた富岡製糸場にちなみ、フランスと日本の融合をコンセプトにしていて、生地と餡にはフランス産の砂糖を使用しているそうです。

生地に粒餡がぎっしりと入っていて、ふんわりとした食感が楽しめました。

まゆこもりを美味しく食べてみました!

「まゆ菓優 田島屋」さんの「まゆこもり」にも富岡シルクが使われています。「おひがし」としても食べられるのですが、他にも美味しく食べられるレシピがあります。まゆこもりに「きな粉と黒蜜」を入れて「食べるくず湯」にする方法です。

 

容器にまゆこもりを入れて、スプーンでよく潰し、熱いお湯を注ぐと絹のように溶け出すので、それを混ぜてくず餅のようにします。熱々のくず餅の上に「きな粉と黒蜜」をトッピングすると楽しめます。

取材時は緊張で喉が渇いていたのですが、試食したら喉が潤うだけでなく冷えた身体がポカポカと温まりました。血行を良くし、冷え性やむくみを改善する働きがあるそうです。

帰宅後、実際に作ってみましたが、甘過ぎないほんのりとした美味しさが癖になりました。他にもお好みでコーヒーやココア、ミルク、レモン果汁などアレンジが自由自在にできるのも魅力ですね。

富岡シルクのお料理を食べてみました

富岡市の「たちばな源氏庵」さんにお邪魔しました。富岡製糸場からすぐ近くにある麺処でシルクを使用した「まゆうどん」や地元の旬の食材を使用したお料理が楽しめます。

代表の土屋さんによると、地元の養蚕農家の繭を使用しており、全25種類あるお料理はすべて富岡産シルク100%。富岡産の繭から抽出された「シルクタンパク液」を加えた「まゆうどん」はツルツルして実に美味しそう。

今回は2種類のお料理を食べてみました。春夏のおすすめは「天おろしうどん」。天ぷらは衣がサクサクしていて、備え付けのレモンが海老と相性がバッチリ。シルク入りの麺はモチモチとしていて喉越しが良い印象。食感を長く楽しめました。

秋冬は「おっきりこみ」が評判です。観光目的のファミリーの来店が多いということで、取材当日もファミリー層でにぎわっていました。

「おっきりこみ」は季節限定メニューで、平打ち麺と椎茸・人参など野菜がたっぷり入っています。取材当日も寒い日でしたので、食べ始めたら体の中から温まるのがわかりました。シルク入りの平打ち麺もモッチリとして美味しいのですが、下仁田ネギ(12月~2月)がとにかく甘くてとろけるので、とろっとろ食感が楽しめました。

シルクを食品に配合すると何が違うの?

一概にシルク入りと言っても、パウダー状や液体状のものなど種類が様々です。

シルクパウダーでは物理的粉砕処理(不溶性)、非加水分解処理(タンパク質)、加水分解処理(アミノ酸、ペプチド)されたものがあるようです。非加水分解処理したものは食物繊維に近い状態であることから、お通じの改善にも効果があると考えられています。

写真提供:株式会社 松田養蚕場

また、2つのお店を取材して共通で使用されていたのが液体状の「シルクタンパク液」です。この「シルクタンパク液」が食品に配合されています。

たちばな源氏庵の代表土屋さんのご厚意で試飲させてもらえました。実際に飲んだら無味無臭。飲んだのか分からないくらいでした。

この富岡産「シルクタンパク液」の製造をしている松田養蚕場の代表松田さんに「シルクを入れると何が違うのか?」を教えてもらいました。

「シルクタンパク液」を食品に配合することで食感が変化するようです。例えば、スポンジケーキに配合すると生地表面のキメが細かくなることで口当たりが滑らかとなり、シルクタンパク質の保湿作用によって柔らかくしっとりとした食感になるそうです。

また、麺に配合すると表面の摩擦抵抗が低くなるため、ツルツル感とコシが強くなり、伸びにくい麺になるとのこと。そして、無味無臭なので食品の風味を変えることなく、食感を変化させることが出来るので、様々な食品に応用されているそうです。

まとめ

お料理や商品にシルクを入れることで主に食感などが変化することが確認できました。実際にお店で食べた商品はふんわりとした食感のものが多く、より美味しく感じましたね。このシルクの商品を県内外問わず、沢山の人に知ってもらい、1人でも多くの人に食べてもらえたら嬉しいです。

インフォーメーション

まゆ菓優 田島屋

住所:群馬県富岡市内匠243-1

電話:0274-62-1134

FAX:0274-62-1437

営業時間:9:30~19:00

定休日:水曜日・元旦

駐車場:敷地内15台

アクセス:富岡ICより車で1分

 

たちばな源氏庵

住所:群馬県富岡市下黒岩595

電話番号:0274-63-3338

営業時間:昼11:00~15:00 夜17:30~21:00(予約のみ営業)

定休日:火曜日 

駐車場:40台

 

富岡シルクギャラリー

住所:群馬県富岡市富岡1-1(富岡製糸場 東置繭所内)

電話番号:0274-62-4690

営業時間:9:00〜16:45

定休日:富岡製糸場の休場日と同じ

※ 臨時休業・営業時間を短縮する場合有り

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タマル

群馬県の豊かな自然や温泉地が大好き。特に伊香保温泉の風情溢れる石段街を散策するのがお気に入りです。スポーツではロードバイクで「榛名山ヒルクライムin高崎」に出場します。